検索した時に通常の「ページタイトル・URL・説明文」以外に写真、レシピ、口コミなどがついているのを見かけたことがありませんか? 今回は、ユーザーが視覚的にページの内容を把握しやすくなるように検索結果に表示される情報=リッチスニペットについて見ていきましょう。
リッチスニペット とは
スニペット(snippet)とは「切れ端」という意味で、検索結果で表示されるページタイトルやURLの下に表示される説明文の事をを指します。これは、ユーザーがWebサイトの内容や検索キーワードとの関連性を把握できるようにするための情報源であり、通常メタディスクリプション(meta description)に設定したテキストが表示されます。 これに加え、ページの主題となるものに対して画像・価格・評価などを併せて表示させるものをリッチスニペット (rich snippet) と呼びます。Googleではリッチスニペット以外にも「リッチカード」という名称がありましたが、この2つをまとめて「リッチリザルト」と呼ぶようです(当コラム内では呼び方を「リッチスニペット」で統一しています)。 検索エンジンはページのコンテツを収集し、ランキングをつけることで自動で検索結果画面を表示していますが、人間と同じようにテキストの内容を理解しているわけではありません。したがって、検索エンジンにサイトの内容を正確に伝えてやることによって画像・価格・評価などより多くの情報(リッチスニペット)が表示される確率が高くなります。 サイトの内容を正確に伝えるためには、構造化マークアップを行うことが必要になります。構造化マークアップとは、HTMLにタグ付けを行うこと、すなわち、通常のテキストにHTML上のメタデータ(metadata:データが付随して持つそのデータ自身についての付加的なデータ)を設定していくことです。 たとえばページ内のコンテンツのどのテキストが商品の在庫なのか、どの画像が商品画像なのかなど細かく設定していくことで、単語やテキストに意味を持たせることができ、検索結果の精度やリッチスニペット表示の確率が高くなっていくのです。
リッチスニペット の種類
Google は構造化データを使用してページのコンテンツを認識していますので、リッチスニペットを表示しやすくするには、どのような機能があるかを理解し、それらを適切にタグ付けすることが大切になります。現在、リッチスニペットは下記の通り29種類あります(ベータ版を含めると31種類)。
機能 | 概要 |
Article |
サムネイルより大きな画像を添えた見出しテキストなど、トップニュース カルーセルやリッチリザルトの機能で表示されるニュース、スポーツ、ブログ記事。 |
Book |
検索で見つけた書籍を検索結果から直接購入できる書籍アクション。 |
パンくずリスト | そのページがサイト階層内のどこに位置するかを示すリスト。 |
カルーセル | 1 つのサイトからの情報を順次リストまたはギャラリーの形式で表示するリッチリザルト。 この機能は、レシピ、コース、レストラン、映画のいずれかの機能と組み合わせる必要があります。 |
Course |
プロバイダ固有のリストに表示される教育コース。 コースには、コースのタイトル、プロバイダ、簡単な説明を掲載できます。 |
Dataset |
Google データセット検索で表示される大規模なデータセット。 |
EmployerAggregateRating |
Google の求人検索機能で表示される、多数のユーザーから収集した採用側組織に対する評価。 |
Event |
参加できる時間と場所が決められたイベント(コンサートや芸術祭など)のリストを表示するインタラクティブなリッチリザルト。 |
ファクト チェック | 信用できるサイトが他者の主張を評価した結果の要約。 |
よくある質問 | 特定のトピックに関する質問と回答の一覧を掲載したページ。 |
家でのアクティビティ | ユーザーが自宅でできるオンライン アクティビティを見つけることができるインタラクティブなリッチリザルト。 |
ハウツー | あるタスクを正しく完了するための一連のステップを、順を追ってユーザーに説明するもの。 動画、画像、テキストを利用できます。 |
画像のライセンス | Google 画像検索で、画像にライセンス情報が存在することを示す「ライセンス可」バッジを表示できます。 画像ビューアにライセンス情報へのリンクが表示され、その画像の使用に関する詳細を知ることができます。 |
JobPosting |
求職者が仕事を見つけるためのインタラクティブなリッチリザルト。 Google の求人検索結果に、ロゴ、クチコミ、評価、仕事の詳細を表示できます。 |
職業訓練 (ベータ版) |
求職者や学生が、職業訓練プログラムを見つけるためのインタラクティブなリッチリザルト。 |
ローカル ビジネス | Google ナレッジパネルに表示されるビジネスの詳細情報。 営業時間、評価、経路に加え、予約や注文のアクションも表示できます。 |
Logo |
検索結果と Google ナレッジパネルに表示される組織のロゴ。 |
数学の解法 | 数学の問題のタイプと特定の数学の問題に関する詳細なチュートリアルを示す構造化データを追加することで、数学の問題について生徒や教師などをサポートできます。 |
Movie |
映画カルーセルは、ユーザーが Google 検索で映画のリストを探すのに役立ちます(「2019 年のおすすめの映画」など)。 各映画のタイトル、監督情報、画像など、詳細情報も表示できます。 |
給与推定額 | Google の求人検索機能で表示される給与推定額情報。 特定の職種における給与額の範囲や地域別の平均給与などが表示されます。 |
ポッドキャスト | ポッドキャストを、再生可能なリンクと一緒に Google 検索に表示できます。 また、その他の Google Podcasts プラットフォーム(Google Podcasts アプリや Google アシスタントなど)に表示することもできます。 |
練習問題 | 数学や科学の練習問題に構造化データを追加することで、教育について生徒、教師、保護者をサポートできます。 |
Product |
商品に関する情報(価格、在庫状況、クチコミの評価など)。 |
Q&A | Q&A ページとは、1 つの質問の後にその質問に対する回答が続く、質問と回答の形式のデータが含まれているウェブページです。 |
Recipe |
個別のリッチリザルトとして、またはホスト カルーセルの一部として表示されるレシピ。 |
クチコミ抜粋 | クチコミサイトでのクチコミや評価からの抜粋。 通常は、クチコミ投稿者による総合評価スコアの平均です。 クチコミ抜粋には書籍、レシピ、映画、商品、ソフトウェア アプリ、ローカル ビジネスに関するものがあります。 |
サイトリンク検索ボックス | 検索結果に表示されたウェブサイトを対象とする検索ボックス。 |
ソフトウェア アプリ (ベータ版) |
ソフトウェア アプリに関する情報(評価情報、説明文、アプリへのリンクなど)。 |
Speakable |
テキスト読み上げ(TTS)を使用する Google アシスタント搭載デバイスで読み上げ可能なニュース コンテンツを、検索エンジンやその他のアプリケーションが識別できるようにします。 |
定期購入とペイウォール コンテンツ | サイトのコンテンツをペイウォール コンテンツとして明示することにより、そのコンテンツが Google のガイドラインに違反するクローキングを行っていないことを Google が容易に識別できるようにします。 |
Video |
検索結果に表示される動画情報。動画の再生、動画セグメントの指定、コンテンツのライブ ストリームも可能です。 |
リッチスニペット のメリット
クリック率向上 検索結果の画面では、文字情報のみが並ぶ通常のスニペットの表示よりも表示される範囲が大きくなるため目に留まりやすくなります。また、画像やレビューなどが表示されていると、視覚的にインパクトがあります。こういったことから、興味をもったユーザーがクリックする確率が高くなります。
検索結果への反映速度 構造化データはHTML に埋め込まれており、クローラーが処理しやすい形式のため、検索結果への反映時間が短くなることが期待できます。 更新した情報をいち早くユーザーに届けたいときなどにも効果がありそうです。
検索結果の正確性の向上 構造化データを検索エンジンに認識させることで、検索エンジンが正確に検索結果を返すことができるようになります。
リッチスニペット の注意点
リッチスニペットが必ずしも表示されるわけではない リッチスニペットのために構造化データを記述したからといって必ずしも表示されるとは限りません。 Googleにインデックスされる必要があり、インデックスされても、表示させたいリッチスニペットと検索クエリとの関連が低かったり、ページ自体のクオリティが低かったりすると反映されません。
検索順位があがるとは限らない Googleにおける検索順位は、ページの内容やアクセス状況、リンクの数など総合的な評価をもって決定されますので、リッチスニペットのための構造化データを記述したことによって、直接的に検索順位が上がるわけではありません。ただ、リッチスニペットを設置することで興味をもったユーザーがクリックする確率が上がったり、更新した情報の反映が早かったりすることにより、間接的にアクセス数が上がり検索順位が上がる可能性はあります。
ガイドラインに準じる 構造化データはリッチスニペットを表示させるためだけに悪用することができてしまいます。 Googleのガイドラインに違反している場合はリッチスニペットが反映されないだけでなく、スパムとして判定されたり、ペナルティが課される場合があります。 構造化データマークアップの確認は下記サイトから検証が可能です。 ・構造化データテストツールはこちら ・リッチリザルトテストツールはこちら
HTMLソースへの影響 マイクロデータ(microdata)のようにテキストを直接マークアップする場合、該当部分が判別しづらくなってしまいます。また、JSON-LDのように構造化データをまとめて記述できる場合は、ソースのボリュームが大きくなってしまうなどの影響があります。
まとめ
リッチスニペットはGoogleをはじめとする検索エンジンがユーザーエクスペリエンス(UX)を向上させるために表示しているものです。 サイトの運営者であれば誰もがリッチスニペットによって検索結果を目立たせたりユーザーの興味を引いて間接的にサイトのアクセス数を増やしたりしたいと思うかもしれません。しかし、導入にあたっては、リッチスニペットの表示がユーザーのためになるかどうか、どれを優先的に対策すればいいのか、リッチスニペットの設定や管理の費用対効果がどれくらいあるのかなどを検討することも必要ではないでしょうか。