現在、日本ではweb検索の75%以上がスマホからされています。
 また、Googleでも2016年にレスポンシブでのサイト構築の推奨や、モバイルファーストインデックス( MFI :インデックス登録とランキング にモバイル版のコンテンツを優先的に使用)への移行を表明し 2021年3月には完全移行する旨が発表されました。

 web制作コラムピッピとポッポのweb講座【レスポンシブウェブデザイン】の中で”モバイルファースト(Mobile First)”という言葉が出てきましたが、今回は、このモバイルファーストとはどういうことなのかについて見ていくことにします。


モバイルファースト とは

 モバイルファーストとは、一般的にパソコン向けではなくモバイル向けのサイトから先に開発する手法という意味で使われています。

 そもそも、モバイルファースト(Mobile First)という概念は、2009年にアメリカのルーク・ウルブルスキー(Luke Wroblewski)が自身のサイトで下記のように提唱したことに始まります。

More often than not, the mobile experience for a Web application or site is designed and built after the PC version is complete. Here's three reasons why Web applications should be designed for mobile first instead.  
  1. Mobile is exploding  
  2. Mobile forces you to focus 
  3. Mobile extends your capabilities 

直訳すると
 多くの場合、Webアプリケーションまたはサイトのモバイルエクスペリエンスは、PCバージョンが完成した後に設計および構築されます。 Webアプリケーションを最初モバイル向けに設計する必要がある3つの理由は次のとおりです。
  1.モバイルが爆発的に増加しています
  2.モバイルはあなたに集中することを強制します
  3.モバイルはあなたの能力を拡張します
ということになります。

「最初にモバイル向けに設計」ということは、「モバイルファースト」=「ユーザーファースト」という意味であり、モバイルサイトを先に作ればモバイルファーストであるという意味でもPCユーザーをないがしろにするという意味でもありません。
 それでは、なぜ、モバイルサイトを最初に設計する必要があるのかについて詳しく見ていきましょう。


モバイルファーストの重要性

 従来、パソコン向けのサイトを先に開発し、そのサイトをモバイルにも対応させるという順序が一般的でした。 しかし、パソコンと違いモバイルは、画面が小さい、通信速度も必ずしも高速とは限らない、操作がタップとスワイプが中心などの理由から従来の順序では見づらいサイトになったり重くなったりしてしまいます。
 そこで、厳しい制約のあるモバイル向けの開発を先にすることによって、余分な要素をできる限り省き、必要最小限の適切な、無駄のない、ユーザーに最適なサイトを開発するべきであるということです。
 
1.モバイルの爆発的な増加
 2007年に発表された初代iPhoneから始まったスマートフォンは日本では現在90%近くの人が所有しています。また、web検索の75%以上がスマホからされています。こういった需要の増加がモバイル端末でユーザーがストレスなくweb検索ができるための背景となっています。

2.必要なコンテンツだけをフォーカス
 パソコンと違いモバイルは、画面が小さいため、本当に必要な情報だけを掲載する必要があります。そうすることで、ユーザーの直帰率を下げたり、平均PV(ユーザーあたりの平均ページ閲覧数)を上げたりすることもできます。

3.モバイルの能力の拡張
 モバイル独自の機能(例えば、カメラ機能やGPS機能など)を活用したサービスを開発することで、パソコン版では生まれなかった革新的な機能やサービスが生まれる可能性があります。


まとめ

 スマホの普及やGoogleの推奨などの背景があるからといって、本当にモバイルファーストにすべきかどうかは一考が必要です。
 ビジネスモデルが B to C(企業がモノやサービスを直接一般消費者に提供)の場合、モバイルファーストは非常に有用です。一般消費者はいつでもどこでも手軽にスマホなどのモバイル端末から閲覧ができるからです。
 しかし、ビジネスモデルが B to B(企業が企業に対してモノやサービスを提供)の場合、スマートフォンからの閲覧は増加傾向にあるもののPCからの閲覧が大半ですので従来の開発の順序の方が適しています。
 目的やスタイルに合わせて柔軟に取り入れることが大切になってきます。