日本のWeb広告媒体費のうちリスティング広告(検索連動型広告)についで多いのが、ディスプレイ広告となっています(2020年時点で32.6%、引用:電通「2020年 日本の広告費、D2C・CCI・電通3社共同リリース)。
今回はディスプレイ広告について少し詳しくみていくことにしましょう。

ディスプレイ広告とは

ディスプレイ広告 (digital display advertising)は、webサイトやアプリ上の広告枠に表示される、テキスト、画像、Flash、動画、および音声で作成された広告のことをいいます。ディスプレイ広告の主な目的は、サイト訪問者に一般的な広告とブランドメッセージを配信することで、消費者の購入意欲を高めるのにも役立ちます。
ディスプレイ広告の広告タイプのうち、バナー広告が最も一般的なため、ディスプレイ広告の事をバナー広告ともいいます。

                     引用:YAHOO!JAPAN
                    引用:BIGLOBE
ディスプレイ広告では、広告作成時に広告タイプを選択することで、テキストや画像、動画を使ったさまざまな種類の広告を作成できます。
バナー広告
 画像とテキストを組み合わせた広告
レスポンシブ広告
 掲載面に併せて広告のサイズやレイアウトを自動的に調整して配信ができる広告
動的ディスプレイ広告
 インターネットの行動履歴に基づいて、ユーザーの興味関心に合わせたクリエイティブを自動生成して配信する広告
テキスト広告
 ディスプレイ広告の枠にテキストのみを表示して配信する広告
動画広告
 ディスプレイ広告の枠に動画を配信する広告
リスティング広告の検索キーワードに連動した広告に比べ、ディスプレイ広告は広告枠であるポータルサイトのトップページなどにも掲載されるため、リスティング広告よりも幅広い層のユーザに訴求できます。
しかし、無作為に配信しているわけではありません。主に以下の3種類のユーザーデータををもとに識別し、ターゲットごとに最適な広告が配信される仕組みを作っています。
・ユーザーの接続IPアドレスから居住エリアを識別
・ユーザーが登録した情報を利用して年齢や性別など様々な属性を識別
・Webサイトの閲覧履歴によって、ユーザーの行動データを直接取

広告報酬の支払いは下記のように段階的に分かれています。
表示報酬型(インプレッション型報酬)
 サイト訪問者がディスプレイ広告が含まれるウェブページを開いてブラウザに広告が表示される
クリック報酬型(クリックスルー型報酬)
 表示された広告を訪問者がクリックする 
成功報酬型(売上型成功報酬)
 訪問先であらかじめ決められたアクションを実行する (商品の購入や個人情報の登録など)

ディスプレイ広告の種類

ディスプレイ広告のサービスは、Googleと Yahoo! それぞれが大きなネットワークを構築して提供しています。

GDN(Googleディスプレイネットワーク)
Google関連のサイトに広告を配信できるディスプレイ広告のネットワークです。YouTubeやアメブロなど一般のポータルサイトや、ブログページの広告枠などGoogleを母体とするサイトにディスプレイ広告を出稿します。
 また、Googleパートナーサイトである「BIGLOBE」「楽天」にも広告が表示されます。GDNの配信先は200万以上ともいわれています。

YDN(Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)
Yahoo!関連のサイトにディスプレイ広告のネットワークです。Yahooニュース、YahooメールなどYahooサービスのサイトに広告配信されるます。
また、「朝日新聞」や「goo」などYahooと提供するパートナーサイトへの広告出稿も可能です。

ディスプレイ広告のメリット

潜在層へのアプローチ

ディスプレイ広告はユーザーの閲覧ページに広告が表示されるため、サービスや商品自体をまだ知らないユーザーや多少興味があるユーザーなど、潜在層をターゲットとした広告活動が可能です。

視覚効果・聴覚効果

ディスプレイ広告は、テキストだけでなく画像や動画が使用できるのでユーザーの視覚や聴覚に訴える広告を配信することが可能です。また、商品やサービスの魅力をより具体的に伝えることが可能です。

リマーケティング・リターゲティング

ディスプレイ広告には、リマーケティング(GDN)やリターゲティング(YDN)と呼ばれる配信の機能があります。
これは、一度WEBサイトを訪れたもののコンバージョンへ至らなかったユーザーに対して、再度広告を表示する方法です。自社の商品やサービスに興味を示したユーザーに対して再度アプローチすることができるため、成果へと繋がりやすい配信機能です。

ディスプレイ広告のデメリット

リスティング広告より低いCVR

ディスプレイ広告は潜在顧客に広告配信をするため、短期的にはリスティング広告と比べるとコンバージョンに繋がりにくい傾向があります。

効果測定や分析の難しさ

リスティング広告はテキストのみで構成されるため、タイトルや広告文の変更の効果がすぐに確認できますが、ィスプレイ広告はターゲット層が幅広いだけでなく、テキスト、画像、動画など様々な要素を盛り込むことができるため、どの要素が効果が高い(あるいは低い)のかの特定に時間がかかります。

広告費の消化速度

ディスプレイ広告は多くのWEBサイトに掲載されるため、リスティング広告よりもクリックされる確率が高くなります。これは、多くのユーザーをサイトに誘導できる反面、広告費の消化速度が高いことを意味します。

ディスプレイ広告の運用のポイント

 ディスプレイ広告を上手に運用するためには、目的を明確にすることが大切となってきます。
 ディスプレイ広告は前述の通り幅広い層のユーザに訴求できるので、配信する目的を明確にする必要があります。
ブランディング、コンバージョン、サイト誘導など、目的を明確にすることで目的に応じた広告の内容やターゲティングの方法で運用することが大切になります。

ブランディング 目的の配信

 ブランディング目的の配信の場合、商品やサービスへの認知度、お問い合わせ意欲などを向上させることが重要となってきます。
 ディスプレイ広告は様々なウェブサイトで幅広いユーザー層に広告を配信できるため、認知度向上のための施策として非常に有効です。さらに、ユーザー属性を絞ったターゲティングをおこない広告を配信したいユーザーを明確にすることで、その効果を高めることも可能です。

レスポンス目的の配信

 レスポンス目的の配信の場合、費用対効果(広告経由で商品やサービスの購入、資料請求、お問合わせなどに直接つながること)を高めることが重要です。そのため、キーワードやトピックといったユーザーの関心に関わる項目で絞り込むコンテンツターゲティングの組み合わせなどで適切に絞り込むことで、顧客化する可能性の高いユーザーへ広告を配信することが有効です。

まとめ

ディスプレイ広告は、幅広いユーザーに対して多彩な表現でアプローチすることができる広告です。そういった意味では、ブランディングを目的とした場合には非常に有用な広告です。
しかしながら、ターゲティングや配信場所を選別する・広告内容を工夫するなどによっては、よりコンバージョンに近いユーザーへのアプローチも可能です。レスポンスを目的とするなら、リスティング広告との併用も非常に有用です。
自社の商品やサービス、目的などに適した使い方や媒体の選択による運用が大切になってきます。