前回は多言語サイトのちょっとした説明と種類の紹介だったが、今回は多言語サイトについて、幾つかの注意点をハイライトする。
先ず一言。多言語サイトと聞くと、自然に「日本語版サイトが英語、中国語などにも翻訳されている」と思うだろう。これは正しい分はあるが、言語以外の要因もみないといけない。特に大事なのは、情報と整理だ。つまり、
- どんな情報を
- 何の言語で
- どんな形・サイト構成で
提供するかが多言語サイトの始発店だ。
こう決めてから多言語サイトの構築が進むが、スムーズにいかない場合もあって、ここで何個かの注意点を挙げる。頭に入れておきながらって感じだ。
サイト全体の一貫性
よくあるパターンとしては、日本語版サイトの一部を英語や中国語に直してそれを一つのページにまとめるというパターンだ。これ自体は問題ない。実はありがたい時もある。
しかし場合には外国語ページをわざわざ作っても、そのページが部分的な扱いになってしまって、枯れていく。
半年、一、二年間が経つ。せっかく作ったページの情報もデザインも古くなり、残りのサイトとは全く違う雰囲気になってしまう。そしてサイトが一貫性を失う。イメージダウンになりやすいので、ここは気をつけた方がいい。
サイトの計画段階で直面しないといけない事だな。構成と情報の見せ方を検討して、一貫性をまもりながら外国語ページを入れていく流れが大切だ。更新もきちんと考えてください。
翻訳の質
当然、翻訳という幅広い課題も出てくる。サイトを計画している段階で、欲しい言語コンテンツから逆計算してみて、できるだけ高い質を守っていくといい。
残念な流れをみてみよう。日本語と英語の多言語サイトを作りたいとする。ベースサイトが日本語版で、それを英語で再現する形だ。
しかし途中でタスクの大きさと、ちゃんとした翻訳の難しさとコストに負けて、結局誰の為にもならない、乱れた自動翻訳ページにしてしまうケースは数多くみえる。これもイメージダウンになりやすく、残りのサイトにも影響を与える。
言語と感覚
多言語サイトでは、日本語以外の言語が出ます。従って、日本と違う感覚で情報が流れる。これを無視して、日本語版サイトと全く同じように情報を並べようとすると、みる人が混乱する場合がある。
例として、日本で人の呼び方というのは挙げられます。人の話をする時、または入場料などを書く時、
- 学生
- 大人
- 社会人
- 中学生
などがよく使われて、実は人の年齢を言っているケースが多い。
これは海外の感覚と違って、混乱を招く。上記のリストをそのまま外国語に直訳して、外国人は多分「つまり、何歳(~何歳まで)?」、「つまり、何?」というリアクションになる。海外で何歳未満、何歳上という分け方があったり、「社会人」という発想がなかったりする。
というか、日本語版サイトの全ての情報をそのまま外国語に直そうとすると、多少ずれてしまう危険性がある。グローバルに伝わるかどうかは、要検討だな。
以上をまとめてみれば、情報の整理とプランニングで多言語サイトが成り立つ。翻訳はこの中のステップで、品質の高い訳はもちろん大事だ。海外の感覚も計算入れないと時々情報が伝わらない事も忘れないでください。
ライターについて:
言語やマスコミを分析するのが大好きなヘンリクソンさんがガイドに。シアトル出身のアメリカ人だ。